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皆さんこんにちは!
株式会社塚本鉄工所、更新担当の中西です。
“図面どおりの鉄骨”は、どのような工程を経て生まれるのか。ここでは朝の受け入れ検査から夜の積込まで、典型的な一日を時系列で追いかけます。現場に効くチェックリストも添えました。📝
7:30|受け入れ検査・段取り 🧾
• 入荷鋼材の確認:寸法、曲がり、錆、端面欠け、ヒートNo.。ミルシート突合せで材質トレース。
• 作業会議:当日計画、ボトルネック工程、応援要員、外注搬入時間の共有。
• 治具・工具点検:バンドソー、開先機、ドリル、ポジショナ、クレーン、溶接機、トルクレンチ校正。🧰
8:30|切断:正確さは“入口で決まる” ✂️
• バンドソー/丸鋸:H形鋼・山形鋼の直角切断。切粉処理と刃の摩耗管理が品質を左右。
• ガス/プラズマ:厚板・特殊形状。熱歪み見込みで余肉を残し、仕上げで整える。
• 材長取り:歩留り最適化。余長は後工程のスペーサや当て板に活用。📏
10:00|孔あけ:NCで“穴位置”を外さない 🕳️
• NCドリルライン:梁ウェブ・フランジの通し孔。切削油管理でビビリ抑制。
• ケガキ→ボール盤:特注・小物は手作業。冶具で反復精度を上げる。
• 穴品質:バリ取り、面取り、孔精度(±0.5mm目安を社内基準化)をチェック。
11:00|開先:溶接“成功率”を上げる前準備 🔺
• V/Y/K開先:板厚・姿勢・入熱から設計。ルート間隔と面取り角度はWPS基準で統一。
• ミルスケール除去:グラインダ、ショットで清浄化。油分残りはブローホール原因に。
12:00|昼休み&5S 🍱✨
• 治具・工具を元位置へ。切粉・スパッタ・端材を整理。午後の段取りが速くなる。🧹
13:00|組立:治具と仮付で“ズレ”を殺す 🧩
• 治具:直角・通り・たわみを制御。経験値が“段取り時間”と“歪取り量”に直結。
• 仮付溶接:小さく多点で配置。強すぎる仮付は割れと歪の温床。
• ケガキ・番付:部材記号、向き、ボルト種別を見て分かる表示に。
14:00|本溶接:入熱・姿勢・順序で“歪み”を制す 🔥
• MAG(CO₂/MAG):能率と汎用性。電流・電圧・送給の三位一体でビード安定。
• TIG:薄板・仕上げ重視・現場補修。
• SAW:厚板の長尺直線に最適。フラックス乾燥と回収管理が肝。
• 溶接順序:対称・反対側・分割多層で歪み低減。パス間温度管理を忘れず。🌡️
15:30|仕上げ・歪取り・面検 🔍
• ハンマ・ガスヒートで矯正。過熱による材質劣化に注意。
• 溶接外観:アンダーカット、オーバーラップ、ピット、割れ、気孔の一次検査。
• 寸法公差:直角・通り・穴ピッチ・基準面をゲージで確認。記録はロット単位で。📑
16:30|塗装前処理・塗装 🎨
• 前処理:ブラスト/ショットで素地調整(Sa2.5目安)。
• プライマー:亜鉛リッチやエポキシ系など仕様に準拠。膜厚はウェット/ドライで管理。
• 環境:温度・湿度・露点差を監視。結露条件下は塗装NG。🌦️
18:00|表示・積込・ラッシング 🏷️⛓️
• 番付・向き、取合い注意、吊り位置を明記。傷防止の当て木・保護材を準備。
• ラッシング:荷重・ブレーキ時の横圧を考慮。偏荷重は危険。ドライバーと最終確認。
現場に効くチェックリスト ✅
☐ 材料とミルシートの突合せ完了
☐ NCデータと図面改定の整合(改定記号Rの取り違い防止)
☐ 仮付位置・量の標準化
☐ WPS遵守(電流・電圧・速度・予熱・パス間温度)
☐ 非破壊検査の抜取%と頻度の事前合意
☐ 塗装の露点管理と膜厚記録
☐ 積載図とラッシング計画の承認
まとめ 📝
鉄骨製作の品質は“段取りと標準化”で決まります。ボトルネックの可視化、治具設計、NCデータの信頼性、WPSの運用、そして現場との情報連携。これらを地道に積み上げることが、手戻りゼロ/再作ゼロへの最短ルートです。次回は溶接に特化して、実務のノウハウと不具合ゼロのコツを掘り下げます。💪
株式会社塚本鉄工所では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
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皆さんこんにちは!
株式会社塚本鉄工所、更新担当の中西です。
「鉄骨加工って、結局なにをしているの?」——建物やプラント、倉庫、商業施設、学校、橋梁など、私たちの周囲に立つ“フレーム”を、図面どおりに安全・高品質・期日内で作り、現場で建てられる状態まで仕上げるのが鉄骨加工業の使命です。
本稿では、元請・設計・ファブ(鉄骨製作工場)・現場施工(建方)・検査機関など多くの関係者が連動する全体像を、やさしく・実務目線で解説します。初学者にも、現場担当の実務者にも「俯瞰地図」として役立つはずです。
1|プロジェクトの流れ(超要約)
1. 計画・設計:意匠・構造設計がBIM/CADで骨組みを定義。部材断面(H形鋼、溝形鋼、角形鋼管など)や材質(SS400、SN490 ほか)、接合方式(溶接・高力ボルト)を決定。
2. 見積・契約:ファブは図面・数量から積算し、加工費・材料費・運搬費・建方費・塗装費などを見積。コストとリスク(納期、仕様変更)を織り込みます。
3. 詳細設計(ショップ図):工作図・部品図・ボルトリスト・治具設計・材長取りを詰めます。Teklaなどの3DモデルからNCデータ(切断・孔あけ)を生成。
4. 材料調達:ミルシート(材質証明)付き鋼材を手配。入荷後、寸法・外観・ヒートNo.を確認し受け入れ検査。
5. 製作:切断→孔あけ→開先→けがき→組立→仮付→本溶接→歪取り→仕上げ→塗装→表示の順で進行。各工程で中間検査を行い、トレーサビリティを保持。⚙️
6. 出荷・運搬:積載計画(全長・重量・偏荷重)とラッシングを設計。道路使用や幅員、橋荷重もチェック。
7. 建方(現場組立):クレーン計画・揚重計画・玉掛け・高力ボルト本締め・現場溶接。仮ボルト→本締め→トルク確認→マーキングまで。
8. 検査・引渡し:寸法・通り・直角・レベル、超音波探傷(UT)、磁粉探傷(MT)などの非破壊検査、塗膜厚測定、是正・再検査を経て完了。✅
2|鉄骨“価値”のコア:QCDSE
• Q(品質):強度・剛性・靱性・寸法公差・溶接品質・塗装耐久・トレーサビリティ。
• C(コスト):材料歩留り、治具・段取り、ロット最適化、外注活用、再作業の削減がカギ。
• D(納期):上流での図面FIX、NC化による自動化、ボトルネック把握、二交替などの運用。⏱️
• S(安全):火災・感電・挟まれ・飛来・墜落のリスク管理。KY(危険予知)+5S+保護具。
• E(環境):前処理・塗装のVOC、研磨粉、端材リサイクル、電力削減、LCA/CO2管理。
3|コスト構造と“儲けどころ”
• 材料費が最大。材長取りと歩留り最適化、端材再利用で差が出る。
• 加工費は段取りとタクトタイム短縮、セット替えの削減で効く。
• 塗装費は仕様で上下。亜鉛リッチ、溶融亜鉛めっき、耐火被覆など要件の早期確定が重要。
• 物流費は積載効率・ルート・混載の工夫で最適化。
4|“手戻り”を防ぐ要点 ✍️
• 設計照合:工作図レビュー会を早めに。干渉・現場取合い・階段・手すり・ブレース・梁貫通をBIMで潰す。
• 品質条件の明確化:溶接WPS、許容欠陥、塗装仕様、検査手順、トルク管理を契約前に文書化。
• 変更管理:RFI(照会)→承認→履歴管理。口約束はNG。
5|現場との“いい関係”
• 揚重計画と建方順序を共有。先行部材・仮設材のマーキングを明確に。
• ボルト供給責任と工具校正の管理。レンチ校正記録は現場で提示できるように。
• 是正の即応:溶接肉盛り、座金追加、スチフナ追加など、手配と承認ルートを短く。
6|用語ミニ辞典
• WPS/PQR:溶接施工条件書と手順の適合性証明。
• UT/MT/PT:超音波・磁粉・浸透探傷の非破壊検査。
• F10T:高力ボルトの強度区分。仮→本締め→トルク確認。
• トレーサビリティ:ヒートNo.で材料→部品→製品→現場まで追跡。
7|まとめ ✅
鉄骨加工業は“製造業”であると同時に“建設業”でもあります。設計・製作・物流・建方・検査を一気通貫でデザインし、“QCDSE”の最適点を狙うことが勝ち筋です。次回は、工場ラインの1日を追いかけながら、実務のディテールに踏み込みます。
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