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月別アーカイブ: 2025年11月

第24回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社塚本鉄工所、更新担当の中西です。

 

~溶接という仕事~

 

 

溶接とは、金属を溶かし、一体化させる技術である。
単純に見えるが、その中には高度な物理と化学、そして熟練の経験が詰まっている。
「溶接が建物をつくる」と言っても過言ではないほど、建築・機械・プラント・造船など、
あらゆる産業で不可欠な仕事である。


1. 溶接の原理

溶接は、金属同士を加熱し、分子レベルで融合させる技術である。
接合部分が一体化することで、ボルト締結よりも強い結合力を発揮する。

主な溶接法には以下のような種類がある。

  • アーク溶接(被覆アーク・半自動・TIG)
     最も一般的。電気アークの熱で母材と溶接棒を溶かして接合する。

  • ガス溶接
     酸素とアセチレンを燃焼させて金属を加熱。細かい部品の補修などに使用。

  • レーザー溶接
     高エネルギーのレーザー光で精密溶接。ロボット化が進む分野。

  • スポット溶接
     薄板同士を圧力と電流で瞬間的に溶着する。自動車業界などで多用。


2. アーク溶接の技術

溶接の中でも最も汎用性が高いのがアーク溶接である。
特に建築鉄骨では、被覆アーク溶接(手棒溶接)とCO₂半自動溶接が主流となる。

溶接の基本は「溶け込み」と「ビード形状」。
溶け込みが浅ければ強度不足、深すぎれば母材の変形を招く。
適正な電流・電圧・速度を維持しながら、一定のビード(溶接線)を形成することが重要である。

職人はアークの音で状態を判断する。
良好な溶け込み時は「サーッ」と安定した音が鳴り、
不安定な場合は「バチバチ」と不均一な音に変わる。
音・光・溶融池の動きを同時に見極める感覚こそ、熟練の証である。


3. 溶接欠陥と品質管理

溶接部には、外観では見えない欠陥が生じる場合がある。
代表的なものに以下が挙げられる。

  • 溶け込み不足

  • スラグ巻き込み

  • ピット(気泡)

  • クラック(割れ)

  • アンダーカット(母材削れ)

これらは強度低下を招くため、非破壊検査(NDT)によって確認する。
磁粉探傷(MT)、浸透探傷(PT)、超音波探傷(UT)などの手法で内部状態をチェックし、
品質保証を行う。


4. 職人の感覚と姿勢

溶接は科学でありながら、極めて感覚的な仕事でもある。
風の影響、母材温度、姿勢、アーク長。
これらは現場ごとに変化し、教科書通りの条件では成立しない。

職人は“手の記憶”で最適な条件を探り、
同時に安全と品質を両立させる。
それはまさに、火と金属を操る「工芸技術」と言える。


5. まとめ

溶接とは、鉄を融合させ、形を創り出す技術である。
単なる接合ではなく、構造そのものを支える「根幹の技」。
火花の一筋一筋に、職人の集中と経験が宿っている。

 


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第23回鉄骨加工雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社塚本鉄工所、更新担当の中西です。

 

~“構造を支える精度の世界”~

 

 

鉄骨加工とは、建築や橋梁、機械設備などあらゆる構造物の「骨格」を形づくる基幹産業である。
建物が地震や風、長期使用に耐えうるかどうかは、図面上の設計だけでなく、現場での鉄骨加工の精度にかかっている。
言い換えれば、見えないところにこそ、建物の安全と寿命を決める技術が存在している。


1. 鉄骨加工とは何か

鉄骨加工は、鋼材を切断・穴あけ・溶接・組立・塗装といった工程で、設計図どおりの構造部材を製作する仕事である。
工場内での作業が中心となるが、溶接・組立後の仮組検査、現場搬入・建方など、最終的な建築構造まで密接に関わる。

一般的な加工工程は以下の通りである。

  1. 材料受入検査
     H形鋼、角パイプ、プレート鋼板などを受け入れ、材質証明(ミルシート)と照合し、異材混入を防ぐ。

  2. 切断
     バンドソー、レーザー、プラズマ、ガス切断機などを用いて、設計寸法に正確に切断する。
     熱による伸縮を想定した補正値を考慮し、±1mmの精度で加工する。

  3. 孔あけ・開先加工
     ボルト接合部や溶接準備箇所に穴や溝をあける。ボール盤やNCドリルによる精密加工が主流。

  4. 仮組立(仮付け)
     各部材を仮に組み、通り・直角・対角寸法などを確認する。ここで誤差が出れば、建て方全体に影響が出る。

  5. 本溶接
     溶接により部材を一体化させる。熱による歪みを抑えるため、溶接順序や熱入力を管理する。

  6. 仕上げ・塗装・検査
     歪み取り、表面仕上げ、防錆塗装を行い、超音波検査(UT)や磁粉探傷検査(MT)で内部欠陥を確認する。


2. 鉄骨加工の精度と誤差管理

鉄骨加工の現場では、「誤差ゼロ」はあり得ない。
重要なのは、「許容誤差内に収める」こと。
日本建築学会(AIJ)やJIS規格では、建築鉄骨の寸法公差が細かく定められており、
工場ではそれを基準にミリ単位で管理している。

例えば、柱の長さ公差は±1mm、梁の直角度は0.2mm/m以下など、
製品が数十トンにも及ぶことを考えると、驚くほど精密な作業である。

測定にはレーザー距離計、デジタルハイトゲージ、三次元測定器が用いられ、
測定結果は品質記録として残される。
このデータが後の構造検査や施工精度保証につながる。


3. 鉄の性質を理解すること

鉄は、熱を加えると伸び、冷えると縮む。
その変化を理解しなければ、高精度な製作は不可能である。

溶接時に発生する「熱歪み」は、鉄骨加工最大の課題の一つだ。
例えば、片側だけ溶接すると、熱膨張の影響で材料が反る。
これを防ぐために、職人はあえて逆方向から順に溶接したり、
熱入力を均一に分散させる技を駆使する。

この“熱との対話”こそ、鉄骨職人の経験値であり、
機械化が進む現代でも、人の感覚が不可欠な理由である。


4. 鉄骨加工の魅力

鉄骨加工は、製品の完成を見届ける喜びが大きい仕事である。
工場で製作した一つの柱や梁が、建築現場で巨大な建物の一部となり、
空間の中で人々の安全と生活を支えていく。

そして何より、「見えない場所で社会を支える仕事」であること。
その誇りが、職人たちの原動力であり、
鉄骨加工という仕事の真の魅力と言える。


5. まとめ

鉄骨加工は、単なる製作工程ではなく、建築の“根幹技術”である。
寸法、熱、強度、そして人の技術。
それら全てを組み合わせ、建物を成立させる。

鉄の構造物が立ち上がるとき、その基礎には必ず無数の職人の知恵と努力がある。
鉄骨加工とは、建築を裏側から支える“精度の芸術”である。

 


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